不動産査定の手法①:取引事例比較法
主に住居用のマンションや土地に関する不動産査定に使われる手法は、取引事例比較法です。
この方法では、類似物件の取引事例を参考にして価格を見積もります。
取引件数が多く、類似性がある住居用のマンションや土地に向いているとされる不動産査定方法ですが、メリットとデメリットがあります。
まずメリットですが、相場を反映した売却に最適な価格を算定しやすい点にあります。
対してデメリットは、参考とする取引事例に価格を左右されやすいため、特殊な事例を参考にしてしまうと適正価格での査定がされない場合があることです。
特殊な事例としては、売り主が売却を急ぎたいのであえて価格を抑えて売却した場合や、購入希望者が多数いたため売却価格が引き上げられたケースなどがあります。
そのため、成約価格に隠れた理由を知る必要があるとともに、類似した成約案件を多く集めることで価格のブレを修正することが大切になります。
それで、取引事例比較法では成約案件を3例から5例ほど取り上げて価格を決めようにしています。
不動産査定における取引事例比較法について
不動産査定の方法には、原価法、収益還元法、取引事例比較法の3つの計算法があります。
中でも、取引事例比較法は査定したい物件と条件が似ている類似物件の成約事例を複数選び出して試算価格を算出するもので、不動産査定を行うにあたり、最も基本的でポピュラーな計算法として採用されています。
比較する類似物件は、対象物件とできるだけ条件が近いものを選定するのがポイントで、補正や修正を加えることでより正確な物件価格を求めることが可能です。
この方法による試算価格は比準価格とよばれ、比準価格の具体的な計算方法は、類似物件の取引事例価格×事情補正×時点修正×標準化補正×地域要因比較×個別要因比較となります。
同じ地域の類似物件であっても、近隣であればあるほど正確な物件価格が算定できることになります。
例えば、不動産査定物件がマンションであった場合で、同じマンションの中で過去に成約事例がある場合などはこの方法を採用して比準価格を算出するのが最適です。